2025-05

レリックランナー

レリックランナー第27話(エピローグ):声の行方

◆ 第一節:塔に残るもの《エコー・ネームレス》。 13塔のひとつとして正式に名付けられたこの記録塔は、 今なお静かに祈りを受け止めていた。記録層の最上階—— かつて誰にも名を与えられなかった“祈り”たちが、 今ではカイ・オルステッドの名義で...
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レリックランナー第26話:選ばれなかった世界

選ばれたということは、同時に——誰かが選ばれなかったということだ。世界は今、“確定”という名の再構築を進めている。だが、その裏側で、崩れていく“もうひとつの世界”にも、確かに、誰かの祈りがあった。◆ 第一節:収束の果て《第十三塔:エコー・ネ...
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レリックランナー第25話:塔の名を呼ぶ日

塔とは、“名前”である。その名に、どんな価値を込めるのか。どんな声を集め、何を祈り、何を選ばなかったか——世界はいま、塔に“名を与える”日を迎えていた。◆ 第一節:命名の儀《セレスティア・ハイロス》、《ゼロ・オーダー本拠“静域”》、そして、...
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レリックランナー第24話:価値の亡霊

声とは、ただ記録されるだけでは終わらない。誰にも届かなかった声は、やがて“残響”を超えて、“亡霊”となる。◆ 第一節:崩れかけた塔の下で塔の選定が始まってから数日。世界中の価値構造が揺らぎ、失われた価値記録が“異常現象”として現れ始めていた...
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レリックランナー第23話:選ばれた塔、選ばれなかった者

世界が何かを選ぶとき、必ず何かが選ばれずに取り残される。だが、その“取り残されたもの”が無意味だったかといえば、誰にも、そんなことは言えないはずだ。◆ 第一節:選定の兆し空が揺れていた。物理的な揺れではなく——“構造”そのものがきしむような...
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レリックランナー第22話:十三のうち、ひとつ

選ばれるということは、選ばれなかった誰かの上に立つことか。それとも、誰かに“意味を与える”ことか。世界は、いま、「どの価値を未来に残すか」を選ぼうとしている。そしてその中で、“たったひとつの塔”が、確かに動き出した。◆ 第一節:塔の収束「動...
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レリックランナー第21話:最初の共鳴者

共鳴とは、価値の一致ではない。それは、響き合い、混ざり合い、ぶつかり合った末に生まれる“ずれ”のようなものだ。それを受け入れられるか——それが、“運ぶ者”に試される。◆ 第一節:消息なき記録者「この人の名は……カドム・リエン」リューカが、フ...
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レリックランナー第20話:もう一つの第十三塔

塔は、記録の器ではない。記録される“世界の形”そのものだ。だからこそ、十三番目の塔は、ひとつではありえなかった。それは、無数の可能性のうち、どれを世界が選ぶか——その“最後の選択”だった。◆ 第一節:座標の揺らぎ「リューカ、座標が……増えて...
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レリックランナー第19話:響く前に消える声

言葉にならなかった想い。言葉にしてはいけなかった痛み。語られる前に消えていった“声”は、本当に「なかったこと」なのか。◆ 第一節:沈黙の島《シェルヴァ》そこは、海の果てに浮かぶ小島だった。地図にも記されず、記録塔からも隔絶された土地。《シェ...
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レリックランナー第18話:価値を盗む者たち

誰かの価値を奪って、それを自分のものにしたいと思ったことはあるか?選ばれなかった自分、認められなかった自分、忘れられた自分。そのすべてを、“奪えば済む”と思った者たちがいた。◆ 第一節:盗まれた選択「カイ、大変よ!」リューカの声が支部中に響...